サンタのピケの物語1/3

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ここはサンタクロースの国。
ピケが働いているサンタのおもちゃ工房でも、たくさんのおもちゃを作っています。
今年もたくさんの子どもたちから、おもちゃのリクエストが書かれた手紙が届きました。
おもちゃ工房では、子どもひとりひとりの希望に叶うおもちゃを、
サンタさんがひとりひとり心を込めて作っています。

今日は12月23日。

クリスマスの朝にプレゼントを届けるには、今日中におもちゃを仕上げなければなりません。
ピケもあと少しで、今年最後のプレゼントが完成します。

そんなときに・・・

「お~い!みんな。新しい手紙が届いたぞ!」
「だれか!手の空いているものはおらんかー?」

工房長のニックがあわてたようすで工房のみんなに大声でたずねます。

ピケは「誰か引き受けてくれないかなぁ」と思いながら下を向いていました。

でも、誰も手をあげません。

みんなそれぞれ最後のおもちゃ作りの途中ですし、
今からつくり始めるおもちゃを今日中に仕上げるなんてとてもムリなはなしです。

いつもにぎやかな工房はしーんと静まり返り、それぞれが作業を続ける音だけがひびきます。

ピケは心が痛みました。
このままだれも引き受けなければ、この子のプレゼントは届かないことになるのです。
そうしたらこの子はどんな気持ちになるでしょう。

ピケは、重い空気に押しつぶされそうになりながら
うつむきがちに右手をあげました。

「ピケ!やってくれるか!ありがとう!頼んだぞ!」

工房長のニックはほっとした顔で、その手紙をピケに渡しました。

『ゆきのようにふさふさの白い毛並みで、サファイアのような青い瞳の、にゃーにゃ―かわいらしい声で鳴くねこのぬいぐるみが欲しいです』

とその手紙には書いてありました。

ピケは思わず目を閉じ、腕を組み、首をななめに傾けました。
そして深く息を吐きました。

なんとむずかしいお願いでしょう。

でも立ち止まっている時間はありません。
今日中におもちゃを作りあげなければならないのですから。

まず、ピケはいつものように紙と鉛筆を使ってねこのぬいぐるみのデザインを描きました。
そして、材料を書き出し、工房の倉庫に向かい、材料を集めます。

ピケはここまでの作業は自分でも誰かに自慢したいと思うくらい早いのです。

でもここからが問題です。

ゆきのような毛並みの生地を縫い合わせ、ねこの形を作りたいのですが、どこからどのように縫うのがいいのかよくわからないのです。
とりあえず針に糸を通し、どこからというでもなくチクチク縫い始めます。

ピケは手を止める度に時計に目をやりました。
頭をかきかき縫い進めていると、横からサンに声をかけられました。